7人乗りのSUVを徹底比較2018

昨年の12月14日に発売した、3列シート7人乗りSUVのマツダの「CX-8」は、ミニバンに代わるモデルとして発売以来好調な売れ行きとなっています。

これまでにも3列シートを持つSUVは発売されてきましたが、今回はその注目度が大きく異なるようです。その理由と、現在発売されている7人乗りのSUVを徹底比較してみましょう。

3列シートSUVの現状

グローバルで見ると、相変わらず乗用車ベースの都市型クロスオーバーSUVは、人気となっていますが、徐々に3列シート車が浸透してきており、今もっとも成長が期待できる車種となっています。

日本国内にもその波は伝わっているのですが、日本市場の3列シート車では、箱型のミニバンが圧倒的なシェアを持っており、特に5ナンバーという日本独自のクラスにおいては、ファミリーカーの定番となっており、海外で人気があるとはいえ、おいそれとミニバンに変わる車種としてラインナップすることにはなっていません。

マツダの戦略とCX-8

© 2018 MAZDA

ところが、マツダは、このミニバン市場において苦戦を強いられており、「プレマシー」や「ビアンテ」などのミニバンの売れ行きと、市場でのライバル車との力関係を考慮した結果、これら2車をモデルチェンジせず、ミニバン市場から撤退する判断を下しました。

限られた資源を得意のSUVに集中させるという、苦肉の策ともいえます。

多人数乗車が可能な車種はラインナップに必要不可欠です。マツダの3列シートSUVとしては、北米において、「CX-9」として発売しており、国内にミニバンの代わりとして、サイズダウンした「CX-8」として導入しました。

ですが、はたしてミニバンの代わりになるのかと、疑問に思う声は少なくありませんでした。

しかし、ふたを開ければ驚くほどの反響があり、発売から一か月の受注台数は、月間販売計画1,200台に対し10倍を超える12,000台となり、1月の登録実績も、「アルファード」や「ヴェルファイア」と互角の販売台数2,938台を記録し,,3列シートSUVが日本国内にも確実に市場があることを証明して見せました。

マツダCX-8

© 2018 MAZDA

「CX-8」は、第2世代に進化した人気のSUV、「CX-5」をベースとした3列シート車。

プラットフォームやパワートレインといった基幹部分は流用しているものの、SUVユーザーだけではなく、ミニバンユーザーをも満足させるべく開発されたモデルです。

上質で多彩な室内空間

その特徴は、3列シートSUVとしての使いやすさを追求したパッケージングです。3種類の2列目シートを設定、最大で6人または7人が乗車可能であり、さまざまな積載物に対応可能なシートアレンジ機能も備えています。

© 2018 MAZDA

具体的には、理想的な運転姿勢を取れる1列目、大柄な乗員でもくつろげる2列目、そして身長170cmでも無理なく快適に過ごせる3列目の空間を追及。

2列目シートには、機種により左右分割のキャプテンシート(2種類/6人乗り)とベンチシート(7人乗り)を設定。「XD L Package」専用のキャプテンシートには、中央に充電用USB端子付大型コンソールボックスを装備。

さらに、荷室容量は、3列目までの定員乗車時にはA型ベビーカー1台やゴルフバッグ2個を積載できる239L、3列目シートを倒すと572Lを確保。荷室のトランクボード下は307mmの深さを備えたサブトランクもあり、さまざまな用途に対応可能しています。

進化したクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」

© 2018 MAZDA

SUVとしての走行性能はさらに進化しており、クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」は、少量の燃料で静粛性と燃焼効率と高い環境性能を両立する「急速多段燃焼」を採用。

「段付きエッグシェイプピストン」、「超高応答マルチホールピエゾインジェクター」、「可変ジオメトリーターボチャージャー」などの新技術により、最高出力を140kWに、最大トルクを450N・mに向上させ、優れた燃費性能を実現しています。

日産エクストレイル

© 2018 NISSAN

補助シートという位置付けのサードシート

「エクストレイル」は、ハイブリッド車の人気も高いのですが、2013年に登場した現行モデルの人気をささえたのは3列シート車の存在です。ただし、3列シート車の設定は2.0Lガソリンエンジンの「20X」のみと限られており、その居住性能も、2列シート仕様と同じく4,690mmという全長に収めているために補助シートという印象です。

それでも、合法的に7人が乗れるということは、どんなシートアレンジよりも実用的であり、普段は収納していていざという時に利用する、そんな便利なアイテムと捉えるべきでしょう。

あくまでSUV3列シート車スタイルを貫く「エクストレイル」

© 2018 NISSAN

また、防水仕様のシート・ラゲッジや荷室の間仕切りができる防水ラゲッジボードを採用し、前席シートの背もたれパッドを中折れ(スパイナル)形状としたスパイナルサポート機能付シートを採用するなどアウトドアを意識した内装であり同じ3列シート車であっても、高級感があり、ミニバンに匹敵する居住性能もある「CX-8」とは根本的に異なる性質なのです。

場所を取るバッテリーを搭載するために、ハイブリッドの設定はなく、2.0Lのみになる3列シート車ですが、「CX-8」より200㎏以上軽量なために走行性能に不満はなく、しかも約282万円と、約319万円の「CX-8」より安価なのも魅力といえるでしょう。もちろん、「プロパイロット」もその魅力のひとつであることは言うまでもありません。

三菱アウトランダー

© 2018 MITSUBISHI MOTORS

先進的なアプローチが特徴の「アウトランダー」ですが、残念なのは、3列シート7人乗りSUVも、プラグインハイブリッド車も登場が早すぎて、注目され始めたころには車種そのものが古くなり、魅力がなくなっていたことです。ですが、その機能だけを取り上げれば「CX-8」にも負けない魅力を備えています。

7人乗車時にはサードシートにしわ寄せが

© 2018 MITSUBISHI MOTORS

3列シート車は2.0Lの2WD車と2.4Lの4WD車に標準装備され、4,695mmという「エクストレイル」並みの前兆ながらも、ルーフが長いワゴン形状と、3列シートが標準となる設計のために、居住性能は「エクストレイル」を上回っています。

ただし、2列目シートを足を組めるほどにスライドさせると、3列目シートはかなり窮屈になるのは否めません。

「アウトランダー」も「エクストレイル」同様に、SUV色が強く、現在注目されている都市型クロスオーバーSUVタイプの3列シート車のような、スタイリッシュなイメージとは異なります。

SUBARUエクシーガクロスオーバー7

© 2018 SUBARU

「エクシーガクロスオーバー7」は、「CX-8」に最も近い車種なのです。

ミニバンとして登場した「エクシーガ」を大幅に改良。専用サスペンションの採用により最低地上高を170mmに上げ、全幅は25mm拡大して1,800mmに。また、SUVらしい力強さを表現したエクステリアにより、3列シート7人乗りのクロスオーバーSUVに大変身したのです。

ミニバン+SUV=「エクシーガクロスオーバー7」

© 2018 SUBARU

そもそもがミニバンだったために、ロングホイールベースをいかした居住空間は、室内長、室内高ともに「CX-8」を上回り、3列目シートの居住性も2列目シートと変わりません。「CX-8」と同じくフルに7人乗車が可能なSUVと言えるでしょう。

また、インテリアも、鮮やかなカラーコーディネートや上質な輝きをたたえるシルバー×ピアノブラック調のパネル。そして仕立ての良さを感じさせるブルーグリーンのステッチなど、そのセンス、質感、こだわりは「CX-8」に匹敵します。

惜しまれるエクシーガクロスオーバーの販売終了

惜しいのは、やはり早すぎた登場と、ステーションワゴンっぽいデザインが受け入れられなかったことでしょう。

トヨタグループであるSUBARUの今後の展開を考えると、新たに登場する可能性は少なく、2018年3月に販売終了予定ではありますが、是非検討する価値がある車種です。

その他の3列シート7人乗りSUV

3列シート7人乗りSUVとしては、トヨタの「ランドクルーザー」や「ランドクルーザープラド」、そして三菱の「パジェロ」と「デリカD:5」があります。

しかし、これらは「CX-8」のライバルとなる、クロスオーバーSUVとはジャンルが異なり、実際に購入にあたって比較検討することはないと思われます。

輸入車では「プジョー5008(404万円~)」、「ボルボXC90(779万円~)」のどが日本でも発売されており、特に「「プジョー5008」は価格的にも「CX-8」に近く、本場の3列シート7人乗りクロスオーバーSUVとして、魅力を感じることが出来るはずです。

まとめ

広い居住スペースや、スライドドアのあるミニバンの代わりになるかと言えば、それは無理。

しかし、実際にそんなに大きなスペースを必要としているのかといえば、少子化が進現在、ほとんどの場合フル乗車するケースは稀で、高い全高を持て余しているのが現状なのです。

ならば、2列目までを快適に過ごせて、デザインも人気のクロスオーバーSUV。そして、乗り心地もミニバン以上ということなら、3列シート7人乗りクロスオーバーSUVに勝機はあるはず。

あるいは、子供が車の中で着替えたり、ベビーカーを載せたりする時期を過ぎたとき、ミニバンから乗り換える車種としての需要は、ミニバンが大量に売れた今だからこそ大いに期待できるはずです。事実、他メーカーにも同様の車種が登場する予定も聞かれています。

マツダの「CX-8」は、デビューしたタイミングと、得意のSUVというジャンルであること、そして幸か不幸かミニバンにおいて敗退したことなども重なり、国内の乗用車市場において、起死回生の一手になりうる車種になりそうです。