車のバッテリーの寿命ってどれくらい? 長持ちさせるには?点検時期と寿命判断

スマートフォン、ノートPC、タブレットPC、携帯音楽プレイヤー、現在私たちの周りには充電式バッテリーを使う機器であふれていますが、どの機器でも必ずバッテリーに寿命があるように、当然クルマのバッテリーにも寿命があります。今回はクルマのバッテリーのメンテナンスや寿命についてお話します。

バッテリーの役目とは

クルマのバッテリーにとって最も重要の役目はエンジンを始動させるためのスターターモーターを回す事でしょう。

世界で初めてバッテリーとスターターを搭載したのは1912年のキャデラックとされています。このスターターが開発されたきっかけについては以下の記事をご覧ください。

現在のクルマではMT車も誤発進防止でクラッチを踏まないとスターターが回らなくなりましたが、かつてはMT車の故障時の緊急措置として低速ギアに入れてクラッチがつながったままスターターを回すことで、一時的にクルマを移動させるという方法があったくらいで、短時間であれば小型のモーターでクルマを動かすこ事が可能なくらいの性能を持っています。

他にもヘッドライトやエアコン、オーディオ、パワーウィンドー、各種電装品や電子制御装置への電力供給を担っています。

しかし、もちろんこれらの電力をバッテリーだけで賄う事は無理です。エンジンのクランクシャフトからプーリーとゴムベルトを使って回転力を取り出しオルタネーターと呼ばれる発電機を回して常時充電する必要があります。

そのためクルマのバッテリーは思ってる以上に過酷な環境で使われていると言っても過言ではありません。

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日本は自動車用バッテリーには最悪の環境?

実をいうと、残念ながら日本のクルマの使用環境というのはバッテリーにとって最悪の環境と言わざるを得ません。

バッテリーにとって一番理想的な使用環境は、気温や気候の変動が少なく、適度な負荷がかかっている状態で常時一定のエンジン回転数で発電機を回して充電している状態です。

しかし、日本は気候的にも湿度が高い上に寒暖差が激しく、同一地域で真夏は40℃近い気温になる一方、真冬は積雪することも珍しくはなく、使用条件も渋滞やストップ&ゴーの多い短距離移動がメインで短時間に何度もエンジンを始動しては停止を何度も繰り返すような使い方も少なくありません。

最も否が応でもこの過酷な使用環境に耐えられる電装品の開発を迫られたのは日本の電装品メーカーの強みでもあり今では、海外の自動車メーカーが日本メーカーの電装品を採用することも珍しくないのですが。

またクルマの運転中エアコンもラジオも全く使わないという方はまずいないでしょうし、夜間の運転が多い人となればヘッドライトの点灯時間も多くなります。

また近年は燃費軽減のためアイドリングストップ車や充電制御システム搭載車が増え、一時的に発電機が止まった状態でもエアコンやラジオ、ヘッドライトが作動している必要があるなど、バッテリーへの依存はますます増える傾向にあります。

実はクルマのバッテリーあえて放電しにくく作られている!?

これは筆者が自動車部品商時代、バッテリーメーカーの営業の方から聞いたのですが1990年代から日本の自動車用バッテリーは電極の鉛にカルシウムを混ぜた合金を使った「カルシウムバッテリー」が主流になっています。

ところが「カルシウムバッテリーは実は放電しにくいバッテリー」というのです。

というのもそれまではバッテリーというと「放電のしやすさ」を優先していましたが、欠点として自然放電もしやすく何日もエンジンをかけないでいたらバッテリーが上がってしまうというケースもありました。

そこで、自己放電による性能低下の起きない「カウルシウムバッテリー」が開発されたのです。もちろん自己放電が起こりにくいのであって、電装品への電力供給の性能とは別です。しかし、カルシウムバッテリーにも欠点があります。

従来型のバッテリーは性能の低下が緩やかで寿命が近づいてライトが暗くなったり、スターターの回りが弱くなったりという兆候が出たら、そろそろバッテリーの交換時期と判断出来たのですが、カルシウムバッテリーの場合「自分から放電しない」という特性上、バッテリーの性能が低下すると電装品の動きが弱くなる前に十分な電力供給が出来なくなると突然死するかのように放電しなくなります。

よく、バッテリーあがりでさっきまで普通に動いていたのに、ちょっとコンビニに寄って戻ってきたらスターターが全く回らなくなるというケースがあるのはそのためです。実は現在のバッテリーは動作状態から寿命の判断がしにくいという厄介な一面もあるのです。

バッテリーのメンテナンス・点検方法

バッテリーの点検時期は最低でも法定点検や車検時、出来れば半年に一度くらいは見たほうが良いかもしれません。

また前述のとおりバッテリーにとって寒さと暑さというのは大敵です。気温が下がれば電解液が活性化せずバッテリーの性能が落ちるため、バッテリー上がりが発生しやすくなります。

昔はバッテリー上がりは冬に起こる物というのが常識でしたが、現在ではエアコンが普及した事で夏場のバッテリーの負担も大きくなり、バッテリーも熱ダレを起こして性能が落ちバッテリー上がりの症状が出やすくなります。

暑くなったり、寒くなったりする季節の変わり目を目安に点検するのもいいかもしれません。その際にバッテリー液不足や充電不足があればバッテリー液補充や専用の充電器でバッテリーを充電してください。

密閉式のメンテナンスフリーバッテリーの場合、充電状態のインジケーターが付いています。メーカーや製品によって表示方法に違いがありますが概ね、青が正常、赤が要充電を意味するようです。

密閉式でないバッテリーの場合、バッテリー液の残量を点検して減っていれば補充する必要があります。

バッテリー側面の目盛りを見てバッテリー液の液面がLOWER LEVELに近づいていたら精製水もしくはバッテリー補充液として販売されている物を補充してください。水だからといって水道水を入れるという事は絶対にしないでください。また必ず補充量の上限も守ってください、UPER LEVELを超えると液漏れの原因となります。

バッテリーの充電状態をチェックする方法で昔から有名な物にバッテリー液の比重を測るという物があります。

バッテリーメーカーのHPによると、気温20℃で比重値1.280/充電100%以下、1.240/75%、1.200/50%、1.160/25%、1.120/0%となっています。

DIY派の方で電気テスターも持っている方であれば、電圧を測るのもいいしょう。バッテリー単体で13V強、エンジン稼働時のオルタネーター作動時で13.4~15V(24V車除く)が適正値です。

バッテリー電圧がこれより下回る場合はバッテリーの寿命、オルタネーター作動時の電圧が13Vを下回る場合はバッテリー上がりの原因になります。また充電電圧が高すぎてもバッテリーの破裂の原因となり非常に危険です。お近くの自動車整備工場でご相談ください。

また、バッテリー液は希硫酸と呼ばれる硫酸を薄めた物です。

液漏れは車体の錆、腐食の原因となり、皮膚に付けば火傷等の原因となります。また筆者の部品商時代の話ですが、客先から回収した廃バッテリーを片付けていた所、やけに指先がピリピリするなと思っていたら、実は前日の雨水だと思っていたのが漏れたバッテリー液で指先の皮が少しヌメっとしていてあわてて手を洗いに行ったことがあります。

更に続きがあり、客先で「あれ、ズボンがボロボロだけどどうしたの?」といわれて、よく見たら廃バッテリーが触れた部分に何か所も大穴が開いていたなんてことがありました。バッテリー液は非常に危険ですのでご自分で、メンテナンス、点検される際はご注意ください。

バッテリーを長持ちさせるには?

メーカー側としては保証期間は2~3年で交換サイクルもそのくらいを推奨しているようです。

車検ごとに交換するのが無難という事なのかもしれませんが、長距離走行の多い人だと7年以上バッテリーがもったというケースもあり、やはり使用環境が大きく影響するようです。

クルマの使用頻度が少ない、短距離しか乗らない人の場合は慢性的な充電不足が起こりバッテリーの寿命が短くなるというのはどうしようもないようです。

長期間乗らないならバッテリーターミナルを外す

何か月も乗らないということがわかっているのであればいっそ、マイナス側のバッテリーターミナルを外してしまうというのもあります。

専用のキルスイッチをターミナルに取り付けて長期間乗らないときはオフににしてもいいでしょう。クルマは動いていないときでも時計やオーディオ、電子機器がごく少量ながら電力を消費しています。

もちろんターミナルを外してしまった際にこれらの機器のメモリーは全て初期化されてしまい、再設定が必要になるのでご注意ください。

またターミナルを外すときはショートさせないように気を付けてください。

自動車用バッテリーのショートは思っている以上に危険でスパナが電極に触れてショートさせるとスパナの火花が出た部分が溶けたり焦げたりするくらいです。その上バッテリーは放電時に水素ガスを発生するという特性があり、火花で引火する危険性もあります。

必ず風通しの良い場所で作業して下さい。

余談ですが、放電時に電極から水素ガスが放電するということはこの逆で水素ガスと酸素を結合させると電極から電気が発生するわけで、これを応用したのが水素燃料電池です。

エンジンがかかっていない状態では電装品を使わない

日常的な注意として、エンジンをかけていない状態でラジオを聞いたり電装品を動かすことはしないようにしましょう。

特にヘッドライトの消し忘れは勿論、半ドアやトランクの締め忘れでもルームランプやラゲッジランプが点きっぱなしになり、バッテリー上がりや寿命を縮める原因になります。

バッテリーは必ず車種に合ったバッテリーを選んでください

バッテリー容量は必ずメーカー指定の容量の物を選んでください。

特にエコカーの場合アイドリングストップ対応や充電制御システム対応であることを確認しましょう。値段だけでバッテリーを選んで結果的にバッテリーの寿命を縮めてしまっては意味がありません。

またクルマをカスタマイズしてる方で高出力のオーディオや電飾を追加している方はメーカー指定のバッテリーより容量の大きいタイプを選ぶ方が好ましいようです。

自動車用バッテリーのDIYメンテナンスには危険が伴います。自信が無いと思ったら無理をせずお近くの整備工場にご相談してください。それでは適切なバッテリーメンテナンスで快適なドライブを楽しんでください。

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鈴木修一郎

愛知県名古屋市在住。自動車部品商、民間車検工場の陸送ドライバーを経て、念願の自動車ライターに。愛車は昭和44年型スバル360スーパーDX、昭和48年型トヨタセリカLB2000GT。スバル360は現在自宅軒先でDIYレストア中。DIYメカや整備工場関連の経験を活かしユーザーと整備の両面からの考察を心がけている。